島の中心に位置する古い荘園那須荘その荘園を統べる島主の夫妻鈴木源一郎と紗江子は周辺の住民にとっては慕われと共に噂の種でもあります
ある日、荘園の従者たちが密かに話していたのが、源一郎と紗江子の不思議な出来事でした。
「源一郎さんは、朝晩必ず庭の古い井戸を覗き込んでいますよ。何か特別なことがあるんですか」
「そうだね。紗江子さんも一緒にいますし、まるで何かを探しているみたいです。」
その噂を聞きつけた私は、興味を持ちながらも、決して聞き込みはしなかった。しかし、ある日、紗江子さんが私に声をかけたのです。
「君、来てくれよ。一緒に井戸を見てみるんだ。」
興味を引かれた私は、紗江子さんの案内で井戸に向かいました。そこには源一郎もいた。彼らは井戸の底を見つめて、何かを話し合っていました。
「どうしてここを見るんですか」と私は尋ねました。
「実は、この井戸には特別な力があるんですよ」と源一郎が微笑んで答えました。
「特別な力」
「ええ、この井戸は昔、伝説の魔法使いが作ったとされるんです。井戸の中には、時間が流れる速度が異なる世界が隠されているんです。」
「時間が流れる速度が異なる世界」
私は驚きと共に、井戸の中を見つめた。
「ここにいると、時間が一秒でも二秒でも速く感じられるんです。だから、私たち夫妻はここで大切なものを見つけています。」
源一郎が言った言葉に、紗江子も頷きました。
「私たちの愛、家族の絆。それがこの井戸で見つかるんです。」
その時、私はこの井戸が特別なものだと感じました。しかし、彼らの話を信じることはできませんでした。
「でも、どうやってこの井戸を発見したんですか」と私は尋ねました。
「それはまた別の話ですね。実は、この井戸は私たちの先祖が見つけたんです。昔々、この島に住んでいた先祖が、この井戸を発見して以来、代々その秘密を守ってきました。」
「秘密」
私は興味を深めていました。
「ええ、この井戸には、時間が流れる速度が異なる世界が隠されているんです。その世界には、私たちが望むものが満載です。ただし、その世界には行けないんです。」
「どうして」
「井戸の周りには、厳戒の警備が敷かれています。私たち以外の者には通じません。だから、私たち夫妻はこの井戸を守り続けています。」
その言葉に、私は感動しました。彼らの愛と努力が、この井戸を守っているんだと感じました。
そして、私は源一郎と紗江子に誓いました。この井戸の秘密を守り、彼らの物語を伝え続けることを。
この島の物語は、まだまだ続いていくでしょう。源一郎と紗江子の愛と努力が、この島の住民に希望をもたらすでしょう。