易経の思想に源を求める囲碁の謀略古代中国の知恵の継承
囲碁、いわゆる将棋の中国版は、数千年にわたって人々の間で親しまれ、深く愛される遊戯です。囲碁の戦術や戦略は、その源流を探ると、易経(いきょう)の思想に深く根差していることがわかります。本稿では、囲碬の謀略が易経の思想からどのように影響を受けたかを考察します。
易経は、古代中国における宇宙の運動や自然界の法則を解明するための書物であり、変化と統一の原理を説いています。囲碁においても、この易経の思想が戦略や戦術に反映されています。
まず、囲碁の盤面は易経の宇宙の象徴とされます。囲碁の盤面は九段の星形に分かれており、これが九宮と呼ばれます。九宮は易経の「八卦」に対応し、宇宙の全体像を表しているとされます。八卦は易経の基本概念であり、自然界のすべての現象を解釈するための基本単位です。
囲碁の戦略では、この九宮の構造を活用し、相手の動きを予測し、自らの動きを計画します。易経の「変化の法則」に基づき、囲碁の戦略は常に変化しながらも一定の法則に従っています。この法則を守ることで、勝利の道を切り開くことができます。
また、囲碁の駒の動きも易経の思想に基づいています。囲碁の駒は、動くたびに「気」を移動させます。この「気」は、易経の「陰陽」の概念と密接に関連しています。陰陽は互いに対立し、同時に相互に依存する二つの原理であり、囲碁の駒の動きもこの原理に基づいています。
例えば、囲碁の玉(将棋の王将)は陽の象徴であり、陰の象徴である馬(馬将棋の馬)や歩(歩兵)と対峙します。このように、囲碁の戦略は陰陽のバランスを取ることで、最終的な勝利を目指します。
さらに、囲碁の戦略には「顺势而为」という考えがあります。易経の「顺势」とは、自然の流れに従うこと、変化を捉え、それに対応することです。囲碁の戦略も同様に、盤面の状況に応じて動くことが求められます。この「顺势而为」の思想は、易経の「応変の才」と呼ばれる柔軟な思考力を反映しています。
易経の思想が囲碁にどのように影響を与えたかをまとめると、以下の3つのポイントが挙げられます。
1. 盤面の構造と易経の「八卦」の関係
2. 駒の動きと易経の「陰陽」の概念
3. 「顺势而为」の戦略と易経の「応変の才」
囲碁は単なる遊戯を超え、古代中国の知恵を体現する文化財です。易経の思想が囲碁にどれだけ影響を与えたかを知ることで、囲碁の奥深さをより深く理解することができます。